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不妊治療を始める時、最初に立ちはだかる壁は「社会」そのもの!?

不妊治療を始める時、最初に立ちはだかる壁は「社会」そのもの!?

・日本は不妊治療実施件数世界第一位!
・それでも「必要な夫婦」全員が不妊治療できるわけじゃない実態
・不妊治療を始める「壁」の正体とは?

日本は不妊治療業界でいくつもの「世界一」の記録を持っています。その第一は「実施件数」でしょう。
少し古いデータではありますが、厚生労働省の把握によると2004年から2010年までに総出生数のうち体外受精による出生児の割合が1.64%から2.7%へ。
2010年から2016年までに不妊治療の助成事業も拡充され、この6年間で実施件数がさらなる飛躍を遂げたことは間違いないはず。

では、なぜ「必要なひと」が全員治療できるようになっていないのでしょうか?
なぜ、日本では不妊治療に対する理解が薄いのでしょうか?

NPO法人「Fine」の調査(2015年)によると、仕事と不妊治療の両立が難しいと回答した割合はなんと91.9%でした。

不妊治療を受けたい人々を阻む「壁」の正体

不妊治療を受けたい人々を阻む「壁」の正体

不妊治療が必要だと診断される夫婦は増えています。
それは日本だけでなく世界的な傾向なのですが、いずれの国でも必要とするすべての人が不妊治療を受けられるわけではありません。
出産可能な身体状況かどうか。また、費用を賄えるだけの経済力があるか、治療に合わせて時間を作れるかといった要素が壁になるのです。

日本では藁をもつかむ思いで不妊治療を始める方がいる一方、まったく関心を示さない階層が多いことも事実。
特に「産む性」ではない男性からの共感は薄く、さらには「産む機能」に何ら問題がない女性たちからも同情は薄いのだとか。
世の中の声に耳を傾けると「不妊治療の助成に公的資金をつぎ込むより育児支援に力を入れてほしい」といった意見もあり、同性間であってすら不妊治療に対する意識が激しく乖離している状況が見えてきます。

こんなケースがあったそうです。
とある30代の女性が会社に不妊治療を受けると申告したところ、休職は認められたものの翌年の人事異動の時期まで待つように言われたのだとか。
すぐにも治療を受けたい30代の女性にとって、その数カ月をただ待つ苦痛はどれほどのものだったでしょうか。
想像するに余りあります。
しかし、これはずっとずっと恵まれている状況で、多くの女性は不妊治療による休暇に理解を得られず、転職を余儀なくされているのです。

「古い体質」に潜む不妊治療への意識の薄さ

比較的新しい話題で、不妊治療に職場全体で理解を示す企業が現れました。
不妊治療のための休暇・休職を認める制度を作り、仕事と治療を両立できる体制を整えようと言う話。

日本では不妊治療の実施件数が多い一方で、「妊娠に至らなかった」件数もまた多数。
困難を乗り越えても必ず成果が上がるわけではない。
成果重視の資本主義社会のなかで、不妊治療に対する理解がいまいち広がらない理由の一端はここにあるのかもしれません。

また、「卵子が老化する」という事実。「産める年齢制限がある」という問題。
これらの知識が薄い人々は、もとからそれらの情報に興味がないのです。関心を持たない領域にどのようにして「知ってもらう」か。「共感してもらう」か。
どうすれば、日本人全体が抱える問題、乗り越えるべき課題として認識を広められるのか。

完全なる一匹狼で生きられる人はめったにいませんよね。
人は必ず誰かと関わって命を生きているわけで、不妊治療を受けやすく、かつ成果を得やすい環境を作るには、まず社会を成長させる必要がありそうです。
枠組みと、社会を構成するひとりひとりの意識を育てること。

一朝一夕に成果が出る事業ではありません。今、この時に苦しんでいる女性たちには間に合わないかもしれません。
でも、社会を育てるということはそういうことなのでしょう。

いずれ不妊と診断される夫婦が、迷わずに不妊治療を受けられる日が来るかもしれない。
その過程で、過渡期の現在、不妊治療を受けようとしている人々を支える枠組みが少しずつでも厚くなっていくかもしれない。
今後の展望を希望の光として、ぜひ一人でも多くの女性、不妊治療に挑んでいるご夫婦、不妊症に悩む男性に声を上げていただきたいと思います。

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ライタープロフィール

円谷円谷ミナミ
基本的に斜めの姿勢で世の中を見つめるフリーライター。
性的思考はボーダーレス。ただし多少女性に甘い。
自分のキュアリは?(女性としての内面磨き)(沈思黙考・無言実行)
”秘すれば華”を人生を通して実現する方法を模索している。
乙女の窓辺~女性にまつわる、うわさの検証~の四コマ連載中