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上皮性と非上皮性がんの違いと体性がん

上皮性と非上皮性がんの違いと体性がん

日本が「がん大国」としてがん発生率が2人に1人という状況になっても、いまだにがんの知識が十分に普及しているとは言えません。
「がん」と「癌」この2種類の表記の違いすら認識していない日本人は意外に多いのです。

「がん」と「癌」は単なるひらがなと漢字の違いだけではなく、症状と病態の違いをも意味しています。
これはがんの種類を大別する「上皮性」と「非上皮性」の違いとも共通しており、がんと診断された後の治療をどのように進めて行くのか判断するための重要な要素でもあるので、ぜひ皆さんも認識しておくようにしてください。

■上皮性
上皮性がんは表層組織に発生するすべての「がん」が範囲です。
種類としては「腺腫」「乳頭腫」「癌種」があります。
一般によく知られる乳がん、胃がん、肺がんなどの大部分が上皮性であり、「癌」と表記します。

■非上皮性
非上皮性がんは上皮性がん以外の全てを網羅しており、「筋腫」「脂肪腫」「軟骨種」「血管腫」「肉腫」「白血病」などが範疇です。
こちらは「がん」と表記します。

女性にとって今最もリスクの高いがんの種類は「大腸がん」「肺がん」と、そして「乳がん」「子宮頚部がん」「子宮体がん」「卵巣がん」です。

子宮というひとつの臓器に発生するがんであるのに「子宮頚部癌」と「子宮体がん」と区別して取り扱う理由は、子宮頚部がんの発生形態が基本的に上皮性であり、子宮体がんが上皮性・非上皮性双方を含むその性質の違いにあります。

平均寿命の延長とともに女性の子宮体がんおよび卵巣がんリスクは上昇を続けているのです。
病気になってからがんやがん治療について学び始めるのではなく、健康なうちから病気に備え、リスクを認識するようにしましょう。

表層組織とはどこまでを指すのか?

表層組織にできるがんが「癌」であり上皮性がん。それ以外が非上皮性がんで「がん」及び肉腫と表記される。
ここまではお分かり頂けたかと思います。

しかし、一般に身体の内側と考えられる乳腺がんや子宮がん、肺がんなども上皮性がんの仲間です。
それでは、上皮性となる表層組織とはどこまでを示すのでしょうか?

「表層組織」とは、身体の表面を覆う組織、空気に触れている部位、および、身体の内側で器官と器官を分ける分離層を構成している細胞組織のことです。

つまり、乳腺と皮下脂肪組織を分離している組織面や、肺の内側で呼吸を支えている肺胞の表面なども上皮に含まれます。
そのため、個人的な感覚としては「体内」に発生したがんであっても「癌」に含まれるという訳です。

上皮性の層に留まっているがん細胞は手術で除去できるケースが多いので、回復の可能性が高いがんの種類でもあります。
ただし、すい臓など臓器の位置によっては最初から手術を断られてしまうこともあるので、一概には言い切れません。

がん治療の常識、非常識

がん治療の常識、非常識

最新のがん治療に関する基礎知識をまとめておきますので、よろしかったらご参考になさって下さい。
もちろん、そんな事態が起こらないことが最善ではあります。
しかし人生は予想外に進むものです。いつ、何があっても大丈夫なように、できる限りの準備をしておきましょう。

■三大療法
・手術療法
検査で特定した固形がんを除去する療法で、回復する可能性が高いステージに適用されるケースがほとんどです。
ただし、すい臓など、他の臓器との位置関係によって最初から手術が難しいものが少なくないので、手術療法が適応すること自体がステージや病態レベルを示唆する側面もある、と思っていいかもしれません。

ただし、手術によってがん細胞が周辺臓器に触れると二次的な転移を引き起こすリスクがあります。
また、完全にがん細胞を抜去できなかった時にもその後の病気進行を早める可能性を覚悟しなければならないでしょう。
いずれにしろ、手術に耐えうる体力を残した患者にのみ手術療法は適用されます。

・化学療法
抗がん剤を投与する療法です。
薬剤の副作用は大きく、その苦しみから治療を中断するケースも少なくありません。
ある程度進行したがんを縮小して手術の適用範囲にするための予備治療としても用いられます。
抗がん剤治療とともにホルモン療法を併用することもあります。

・放射線療法
放射線、エックス線、陽子線、重粒子線などを患部に照射してがん細胞を死滅させる療法です。
ただし、ひと1人に照射できる放射線量の規定値が人生を通じて決まっており、例え寛解間近であったとしても規定値に達すれば治療を中断せざるを得ません。

また、費用が高額になる上に現在のところまだまだこの治療を受けられる施設が少ない点が放射線療法の問題と言えるでしょう。

■その他の療法
自然免疫療法など、統合医療に属する代替医療の分野でもがん治療に有効と考えられる治療法がいくつかあります。
ただし、西洋医学の見地から認められたものではないので真偽のほどは検証が必要です。

もしも自分や大事な家族が「がん」になったなら。
その時何をすべきなのか、どう生活を変えるべきなのか、考えられる時に考えておくことをおすすめします。

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ライタープロフィール

円谷円谷ミナミ
基本的に斜めの姿勢で世の中を見つめるフリーライター。
性的思考はボーダーレス。ただし多少女性に甘い。
自分のキュアリは?(女性としての内面磨き)(沈思黙考・無言実行)
”秘すれば華”を人生を通して実現する方法を模索している。
乙女の窓辺~女性にまつわる、うわさの検証~の四コマ連載中