生理とナプキンの歴史と女性の体
私たちが毎月お世話になっているナプキンやタンポン。
その存在に何の疑問も持たないで使っている人も多いと思いますが、実は生理用品がこうして市場に出回るようになったのは、人類の長い歴史においては比較的最近のことだって、知っていましたか。
いま当たり前に手に入る生理用品がなかった時代には、どうしていたんだろうという素朴な疑問。女性にとっては、気になるところですよね。
目次
12個入りで2千円!?
日本での生理用ナプキンの歴史は意外と浅く、現在普及しているナプキンの原型といわれている「アンネナプキン」が発売されたのが昭和36年。
ただ、使い捨て商品なのに12個入りで2千円という高額商品!!!
当時の物価を考えると、庶民にはなかなか手が届かない代物でした。
その後、昭和53年に高分子吸収体を利用したロリエが発売される頃になってやっと、ナプキンがだんだんと世の中に普及していきます。
こうして見てみると、日本のナプキン歴史って、たかだか40~50年と短いんですよね。
それでは、ナプキンが普及するもっと昔、女性達は経血をどのように処理していたのでしょう。
腹巻、ふんどしの活用
昔の日本女性の下着事情について理解を深めておきましょう。
生理でない通常時、昔の女性が下着として何を付けていたか、みなさんはご存知ですか。
実は平安時代以前から、下着といえば腰巻きが主流でした。
腰巻型の下着は世界でも珍しく、日本以外では南国の島民に限られていたようです。
それから千年を超え、戦争を経て西洋化の流れが進むまでは、日本女性の下着といえばずっと腰巻きでした。
西洋風のショーツとは違い、性器をスッポリと覆わない腰巻きは、湿度が高く夏は暑い日本の気候や風土にピッタリで、それが長年日本の女性に愛用されてきた理由と考えられています。
すっかり西洋化された世の中に生きる私たちですが、下着の中のムレが気になる真夏日などには、昔の腰巻きの習慣を復活させてみるのも一興かもしれませんね。
さて、話を生理用品に戻しますと、ナプキンが普及する前の日本では、生理中の女性はふんどし状のものを締めて生理に対応することが多かったようです。
そのふんどしは生理専用のものというよりは、家族のお古を使い回したり、ボロ布を当てがったりすようなことが多かった様子。昔、布はとても高価でしたから。
生理の時は隔離されていたことも
平安時代の高貴な女性の場合、さすがにお古のふんどしなどではなく、「月帯」と書いて「けがれぬの」と読む専用の生理帯を使い、当て布に綿を挟んでいました。
生理=ケガレであるという発想だったので、生理期間の8日間は自宅の離れや実家などに隔離され、全身くまなく洗って身を清めた後に初めて通常の生活に戻れる、という感じだったようです。
ふんどしの中に入れる吸収剤として、貴族は綿毛を用いることが多かったようですが、庶民の場合、より安価な麻やボロ布、ガガイモやツバナの穂などの植物をすりつぶしたものを忍ばせていたようです。
実際、吸収するものであれば何でもアリだったのかもしれません。
このように、現代のナプキンの原型はすでに平安時代には存在し、一般には「股ふさぎ」という実にあからさまな呼び名が使われていました。
江戸時代になると、紙の値段が下がってきたこともあって、懐事情にゆとりのある女性は和紙(浅草紙という再生紙)を折り畳んで性器に当てがい、上からふんどし状の布で押さえていました。
またタンポン式の生理用品として、和紙や布を丸めて膣の中に詰め込んだり、吸水性のある海綿にヒモをつけて用いていたともいいます。
とはいえ、庶民にとって紙の値段はまだまだ高かったようで、紙といえども使い捨てにしないで洗って何度も使ったり、紙は使わずに相変わらずボロ布などで対応するのが庶民流だったとか。
現代では、衛生用品を買えないほど貧乏している人は稀ですから、昔は今と比べても経済格差が露骨だったと言えるかもしれませんね。
経血をコントロールしていた!?
現代に生きる私たちは品種改良が進んだ
「ムレない、ヨレない、モレない」
ナプキンに慣れているので、昔の人が使っていたような簡易なもので本当に大丈夫だったの?
と思ってしまいますが、一説によれば、昔の女性はインナーマッスルが発達していたので上手に経血コントロールができ、経血量自体が少なかったので、生理中といえども簡単な装備で対応できたのではないかと言われています。
今となってはことの真偽は定かではありませんが、夜用ナプキンでも対応に困るほどの経血過多の人やきつい生理痛で苦しむ人などは、昔はほとんどいなかった、またはかなり少数派だったと見られています。
それが下着の変化によるものなのか、はたまた女性の社会進出が進んでストレス過多になったからなのか、肉体労働が減り生活様式の変化と共に体を動かすことが少なくなったからなのか、こうして1000年以上に渡る日本女性の下着事情を見てみると、色々考えさせられますね。
生理に悩みを抱える現代女性が多い昨今、今の生活様式を少し見直して、昔にプチ・タイムスリップしてみると、健康になれたり意外な発見があるかもしれませんよ。
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ライタープロフィール
TOMO
長く海外生活を経験し、国際情勢に精通。美食&美酒、ファッション、旅をこよなく愛する。
現在は東京在住。翻訳家&ライターとしても活躍中。
自分のキュアリは?(女性としての内面磨き) 知的好奇心を持ち続けて日々を生きること。