全身性の「自己免疫疾患」にはどんな種類があるの?
目次
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)
- シェーグレン症候群(SS)
- 抗リン脂質抗体症候群(APS)
- 多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)
- 全身性強皮症(SSc)
- IgG4関連疾患
- 顕微鏡的多発血管炎(MPA)
- 多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
- 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
- ベーチェット病
- 成人スチル病(成人スティル病)
- 強直性脊椎炎
- 混合性結合組織病(MCTD)
自己免疫疾患は病院でも鑑別が難しく、別の病気と混同されがちです。
そのため間違った治療法によって悪化するケースが報告されています。
どんな病気にも言えることですが、早期発見、早期治療、何より正しい治療が回復には欠かせません。
今病院に罹っているのになかなか体調不良が治らない、あるいは原因が分からないという方は、自己免疫疾患の可能性も検証してみる必要があるのではないでしょうか。
免疫機能の暴走による病気はさまざまな形で現れます。
これは無関係だろうと判断したところ、悪化して病変が拡大し、抗体検査や検体検査を行ってようやく本当の病名が判明するケースも多いのです。
病気・疾患の種類に対する見識を広めておくだけでもいざという時の役に立つはず。
今回は自己免疫疾患の中でも全身性のものに限定してご紹介します。
ぜひ参考にしていただきたいと思います。
自己免疫疾患の本特集については 自己免疫疾患とは? 自分を守る「免疫」が攻撃に転じる時 をどうぞ!
また、部位別の自己免疫疾患については 自分の免疫が自分を攻撃する「自己免疫疾患」の臓器別種類を紹介!をご参照ください。
全身性自己免疫疾患
・全身性エリテマトーデス(SLE)
皮膚から内臓まで全身の器官に炎症が起こる自己免疫疾患のひとつ。
分類としては関節リウマチ同様に膠原病の仲間で、膠原病の中での罹患率順位は関節リウマチが1位で、全身性エリテマトーデスが2位です。
男女割合は1対10。好発年代は15歳から40歳。いまだ原因解明には至っていませんが、女性ホルモンが関与しているのではという指摘もあります。
症状は反復して起こるケースがあり、皮膚および粘膜症状としては「蝶形紅斑」「多形滲出性紅斑」「レイノー症状」「光線過敏症」「口腔潰瘍」「脱毛」など。
また、筋肉や関節では「関節炎」「関節痛」「多発性筋炎」が。
臓器には「ループス腎炎」「腎不全」のほか肺、血液、肝臓、膵臓、腹膜、膀胱、髄膜、心血管に症状が出る上、さらにはけいれんなどの神経症状やうつなどの精神症状まで引き起こします。
サインは熱と疲れやすさ、体重減少など。厚生労働省指定の特定疾患なので、治療には補助を受けられます。
違和感を覚えたらすぐに診断を受けましょう。
・悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)
膠原病で最も多く見られる「関節リウマチ」とは取り扱いが異なり、「悪性関節リウマチ」は難治性疾患克服研究事業と特定疾患の対象になっています。
通常の関節リウマチは関節の変形を起こす自己免疫疾患で、悪性関節リウマチは血管炎など、関節以外にも症状を認めるものです。
悪性関節リウマチの好発年代は60代がピーク。男女比1対2。データ上は1年間で4,000人が悪性関節リウマチで受療しているとのこと。
悪性関節リウマチは血管、関節のほか臓器にも進展するため、予後不良の病気です。
自己免疫がなぜ正しく働かなくなる原因は不明。
症状は筋肉痛を伴う筋力低下、発熱、体重減少、肺炎や胸膜炎、神経炎、消化管出血など、血管炎にまつわる諸症状が現れます。
また、皮膚潰瘍、末端壊死なども。
悪性関節リウマチは通常の関節リウマチよりも症状の進展速度が速いので、即座に対応できるように準備しておきたいところです。
・シェーグレン症候群(SS)
好発年代は40代から60代の中年女性。男女比は1対14で、基本は女性の病気だと思っていいでしょう。
日本人の有病者は約6万人。リンパ球の浸潤によって涙腺や唾液腺の分泌障害が起こる原因不明の自己免疫疾患です。
膠原病の中で特に関節リウマチとの合併が多く、関節リウマチ患者の30%にシェーグレン症候群の症状が認められるとのこと。
また、全身性強皮症や悪性リンパ腫との合併も通常より16倍以上リスクが高くなるようです。
サインはドライアイ、唾液腺や涙腺の腫れ、ドライマウス、顎関節症、その他の関節症状(全身性エリテマトーデスに近似)、甲状腺機能障害、炎症性関節炎、肌のかゆみ、レイノー現象、環状紅斑、皮膚血管炎、炎症性筋炎、肺炎、心臓の炎症、飲み込みにくくなる、肝機能障害、すい炎、腎臓病、腎機能障害、膀胱炎、各種神経症状など。
・抗リン脂質抗体症候群(APS)
膠原病を基礎疾患とする二次性抗リン脂質抗体症候群と原発性に分かれます。
割合はおよそ半々で、双方合わせて日本の有病者は1万人から2万人ほど。
全身性エリテマトーデス患者のうち1割から2割程度が抗リン脂質抗体症候群を合併しているそうです。
基礎疾患がある場合には誘発された経緯がほぼ明らかですが、原発性抗リン脂質抗体症候群については原因不明。
また、そもそも自己免疫疾患全体で原因特定に至っていない種類が多いので、由来となった基礎疾患に掘り下げればやはり結局のところ根本的には原因不明というケースがほとんどだと思っていいでしょう。
動脈血栓症から脳梗塞などの脳機能障害や皮膚潰瘍、失明。
静脈血栓症から肺の血栓障害、習慣性流産、不育症、妊娠中高血圧症候群などが起こる可能性があります。
タバコを愛好する方、高血圧の方、高脂血症の方、経口避妊薬(ピル)を常用している方はハイリスクと考えられるので注意が必要です。
日本では治療後の生存率については情報がありませんが、欧州では5年生存率94.7%、10年生存率90.7%と提示されています。
・多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)
自己抗核抗体によって発生する原因不明の炎症性疾患です。分類は膠原病。特定疾患の指定を受けています。
罹患率は膠原病の中で第3位。膠原病としては比較的男性の罹患率も高い病気で、男女割合は1対3です。
年間新規患者は千人単位で増えているようで、患者総数は2万人以上とも。
発症年齢は15歳以下から60歳以上まで広く分布しており、好発年代のピークは判然としません。
筋肉や内臓に病変が留まるものを多発性筋炎(PM)、皮膚にまで症状が現れるものを皮膚筋炎(DM)として区別します。
症状は発熱、だるさ、疲れやすさ、体重減少、筋肉痛、筋力低下、間接性肺炎など。
皮膚に見られる病変は「ゴットロン徴候」「ヘリオトロープ疹」や爪の変色や変形、潰瘍、ただれ、レイノー症状などです。
ゴットロン徴候は膠原病でも見られる症状で、肘、膝など大きな関節の外側にかさつく紅斑が生じる状態。
ヘリオトロープ疹は上瞼に腫れを伴う紅斑が出る状態を指します。
診断は抗体検査で行いますが、抗TIF1-y抗体が陽性反応を示す場合は悪性腫瘍を高確率で併発するそうです。
また、抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗ARS抗体)、抗Jo-1抗体で陽性反応ならば慢性の間質性肺炎を併発する可能性が高く、抗MDAS抗体(抗CADM-140抗体)で陽性反応を示すようならば急速進行性間質性肺炎を併発する危険性が極めて高いでしょう。
命に関わるのでよく注意してください。
・全身性強皮症(SSc)
全身性強皮症は男女比1対12で好発年代30歳から50歳。膠原病の一種です。
手足から全身へ、同時に身体の内側にも炎症が波及します。
限局性強皮症は良性疾患、全身性強皮症は悪性疾患と考えていいでしょう。
全身性強皮症で固くなった皮膚は5年、6年と経過するうちに自然と回復しますが、一方で病変が起こった内臓はもとに戻りません。
皮膚の硬化、レイノー症状(手指の体温維持が難しくなり、すぐに蒼白になったり、ひどいと紫色に変色する)、爪上皮の出血点、皮膚の黒ずみ、指先の変形や潰瘍、色素異常、肺線維症(空咳、息苦しい、肺炎になりやすい、痰の増加、発熱など)、強皮症腎クリーゼ(腎臓の血管障害に由来する高血圧、急激な頭痛、吐き気など)、逆流性食道炎、手指が曲がって硬直する、関節痛、便秘、下痢などが全身性強皮症の関連症状です。
・IgG4関連疾患
IgG4関連疾患は全身の臓器に腫脹・腫大・結節・肥厚性病変などが起こる病気です。
自己免疫性膵炎やIgG4関連涙腺炎・唾液腺炎、IgG4関連後腹膜線維症、IgG4関連腎症、IgG4関連肺疾患、IgG4関連リンパ節腫大などの臓器別疾患を含む総称で、これらが同時に起こるケース、単独で起こるか、あるいは異なるタイミングで多発するケースがあります。
自己免疫性膵炎は先に述べたように約5,800人、Mikulicz病(IgG4関連涙腺炎・唾液腺炎)が4304人、IgG4関連後腹膜線維症が272人、IgG4関連腎症が57人、IgG4関連肺疾患が354人、IgG4関連リンパ節腫大が203人と分布しており、自己免疫性膵炎を併発しないIgG4関連疾患患者は半数程度で、IgG4関連疾患の患者総数は1万から2万。各臓器別に男女比率が異なります。
ハイリスクの年齢層は50代から60代。自己免疫性膵炎のように明確に男性にリスクの比重が偏っているタイプや、男女同率で病変が起こるタイプもあるので、男性だから、あるいは女性だから安心とは言えないようです。
ドライアイや食欲不振、喘息のような症状が気付く手がかりになります。複合的な体調不良を疲れや過労のせいだと思い込まないようにしましょう。
・顕微鏡的多発血管炎(MPA)
顕微鏡下で確認される小さな血管、毛細血管や細小動脈、細小静脈に起こる壊死性の血管炎を、他の結節性多発動脈炎の一軍から分離して「顕微鏡的多発血管炎」と定義します。
多発血管炎性肉芽腫や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症との鑑別は肉芽腫の有無で行います。
好発年代は50代中盤以降で、55歳から74歳がピーク。
男女比はほぼ1対1で同率。ただし新規患者を数えるとやや女性が多いとのこと。
日本の年間新規患者は約1,400人。英国の調査では罹患率100万人中8.4人であり、日本人は比較的罹患率が高いようです。原因はいまだ不明。
ただし抗体反応が確認できることから自己免疫疾患であると考えられます。
炎症性壊死は小血管から中型血管にまで進展するケースが認められており、出血や内臓の虚血、梗塞、壊死を引き起こす可能性。
また、肺や心臓などに症状が波及する例もあるので注意してください。
糸球体腎炎(腎臓病)が高頻度で出現します。顕微鏡的多発血管炎のサインは発熱や体重減少。急に疲れやすくなること。
筋肉痛を伴う関節の痛みや、皮膚の潰瘍、結節、紫斑、皮下出血。
末梢神経症状としてしびれ。それに腎機能低下に関連して尿の異常。
さらには肺の諸症状が挙げられます。
検査ではMPO-ANCA陽性反応が主な手がかりです。治療した場合は8割がた寛解すると言いますが、発見が遅れると命に関わる事態に陥るでしょう。
発症した場合は感染症への警戒が欠かせません。インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種を必ず受けてください。
親族にこの病気を発症した方がいる場合には多少罹患率が高くなると思われます。
・多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
数多の血管炎症候群の中でも多発血管炎性肉芽腫症は難病指定を受けている難治性の疾患で、医療費助成の受給者数は平成24年度で1,942人でした。
ただし、病院で治療を受けていない有病者も多数いると考えられるため罹患者実数は不明です。
好発年代は男女で別れ、男性は30代から60代、女性は年齢層が上がって50代から60代。男女比率はほぼ同率。
多発血管炎性肉芽腫症の危険性は極めて高く、血管炎から生じる壊死性の半月球糸球体腎炎(腎臓病)や全身の壊死、上気道や肺の中型血管から炎症性の壊死が起こります。
特徴は「肉芽腫性血管炎」として生じる所です。
最初に肉芽腫が認められて他の血管炎と区別されたのは1939年、ドイツのウェゲナー博士の功績によるもの。
博士の名前からかつては「ウェゲナー肉芽腫症」と呼ばれていたのだとか。
症状が出始めた初期に治療を始められれば寛解の可能性が出てきます。
現在血管炎の研究は盛んに進められていますがいずれも途上。
当然ながらこの病気についても原因究明の途中です。
おそらく確実だろうと言われている項目は「白血球が関与していること」「抗好中球細胞質抗体(PR3-ANCA)が関与していること」など。
危険性が高い人物像はこちら。
ちくのうしょうに悩まされている方、あるいはちくのうしょうのような症状がある方。
鼻血が出やすい方、耳の聞こえがよくない方、耳漏、耳の痛み、視力低下や眼病がある方、のどの痛みや異常がある方。
痰に血が混じることがある方。慢性的に息苦しいと感じる方。
肺炎のような症状がある方。腎機能低下が見られる方。
このサインは「尿に血が混じる」、あるいは「尿量の減少」「口が異常に乾く」「むくみが顕著」など。
その他には関節痛や紫斑、神経症状、発熱なども多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の手がかりになります。
壊死性の血管炎である特性からご理解いただけると思いますが、脳や神経回路にも影響をもたらす疾患です。
病気の種類にこのようなものもあるのだと、ぜひ覚えておいてください。
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
好酸球は血液の中や皮膚粘膜に分布する成分のひとつです。
2012年にチャーグ・ストラウス症候群とアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)を統合した病名で、全身の動脈に壊死性の血管炎が起こります。
極めて生命に対するリスクが高く、やはり指定難病のひとつ。
ただし指定されたのはごく最近。2015年1月1日でした。
現在の罹患者は約1,900人。1年間で100人前後の新規患者が増えていると言います。
人口比ではそれほど罹患率が高いとは言えませんが、発症したならばどこまでも治療と経過観察が必要な予後不良の性質から、ハイリスク群に属する人物は警戒する必要があるでしょう。
もともとアレルギー体質の方、アレルギー性鼻炎や気管支喘息がある方。その中で好発年代の40代から70代の方は、以下のサインに気を付けてください。
それまでにもあったアレルギー症状の増悪、発熱、体重減少、腰痛や食欲不振、おう吐、下血、紫斑、皮下出血、潰瘍性の湿疹、心疾患、呼吸障害、腎機能障害、しびれ、感覚障害。脳機能障害など。
男女比1対1.7で、女性の方がやや高いリスクを持ちます。
過敏になる必要はありませんが、健康な状態とは言えないサインが起きた際には見逃さないようにしましょう。
・急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
腎臓病の中で特に危険性が高い、いわば劇症型の病気です。極めて急速に腎不全に至ります。
腎不全は「腎臓の死」ですから、どれほど恐ろしい病態であるかは論じるまでもありません。
徐々に症状が起こる慢性腎臓病(CKD)は何年、何十年という単位で進行するケースもありますが、急速進行性糸球体腎炎ではわずか数週間から数カ月で腎不全へ。
IgG4関連疾患として現れるI型、免疫複合体型として現れるII型、抗好中球細胞質抗体が関与するIII型に分かれます。
I型では糸球体の血管にIgGの付着があり、抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)反応が見られるために「抗糸球体基底膜腎炎」とも言います。特徴は肺胞出血を伴う点です。
II型では毛細血管にIgGとC3補体の付着が確認できます。補体は免疫システムの一翼を担うたんぱく質のこと。
全身の倦怠感や発熱が自覚のきっかけとして有効な症状ですが、他の基礎疾患から急速進行性糸球体腎炎に至った場合にはそれぞれの症状の進行を見守って移行を予防する取り組みを行いましょう。
これを引き起こす可能性がある基礎疾患は血管炎、全身性エリテマトーデス、紫斑病、膠原病、各種腎臓病など。
2013年の新規患者は3,000人近いとも言われ、年々発症者が増加しています。
発症年齢の平均は約65歳で高齢者に比重がありますが、1歳児が発症した例もあります。
男女比は1対1.06。やや女性のリスクが高いようです。
基礎疾患がある場合、アレルギー体質の場合など、条件さえそろっていれば誰にでも起こる病気なのだと理解しておく必要があるでしょう。
キーワードは自己抗体「抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)」と「ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:抗好中球細胞質抗体)」のふたつです。
・ベーチェット病
症状は口内炎、眼病(ぶどう膜炎)、外陰部の潰瘍などを主症状として失明に至る率が高く、また、発作が治ったかと思えば繰り返すやっかいな病気です。
原因不明ですが遺伝因子や外的要因が関与しているとも言われています。
家族にベーチェット病を発症した方がいる場合、血縁者は注意したほうが良さそうです。
特定疾患に指定されており、患者登録数は2013年時点で19,147人でした。
好発年代は20代後半から40代。膠原病の類縁疾患。
近年は罹患年齢の上昇傾向と、軽症者や不完全型患者の増加が目立ちます。
福症状として関節炎、副睾丸炎、消化器病変、中枢神経病変が起こる可能性があるので、なるべく早めに治療を開始してください。
・成人スチル病(成人スティル病)
膠原病の一種、全身型若年性関節リウマチと分類されます。
成人スチル病、成人発症型スティル病などと表記。
小児に起こるスティル病が成人に起こったもので、小児型とは臨床的に異なる病態を示します。
特徴的な症状は熱の上がり方で、39度を超える発熱が急激に現れたり下がったりを繰り返すスパイク熱症状を呈するというもの。
これが1週間以上持続するのです。
ほかにはサーモンピンク色の湿疹ができたり、関節炎、リンパ節の腫れ、のどの痛み、肝臓や脾臓の腫脹、間接性肺炎、胸膜炎、心臓外膜の炎症、腎機能障害、肉芽腫性肝炎など、臓器の炎症性疾患や神経症状なども。
自己免疫疾患の類縁ではあるものの、成人スティル病では自己抗体反応は陰性を示すケースがほとんど。
罹患率は人口10万対3.9人。男女比は1対1.3で、好発年代は46歳を中央としたプラスマイナス19歳の範囲です。
妊娠10週以降に発病する事例が複数確認されていて、妊娠と成人スティル病の発症との関連性に注目が集まっています。
妊娠中に成人スティル病を発症すると流産リスクが高くなるのではという説も。
治療を受ける際によく医師と相談する必要があるでしょう。
診断基準は39度以上の熱が1週間以上持続すること。関節痛が2週間以上続くこと。
定型的な皮膚湿疹があること。80%以上の好中球増加、白血球増加が見られること。
また、咽頭痛、リンパ節腫脹か脾腫、肝機能障害、リウマトイド因子陰性反応、抗核抗体陰性など。
・強直性脊椎炎
人体は骨と腱、筋繊維によって基盤と動作を成立させていますが、この疾患では特に腱と筋繊維の骨への付着部から骨炎が起こり、軟骨組織が肉芽組織へ、肉が組織から骨への置換えが起こって徐々に関節の可動域が狭まっていきます。
男女比では最大5倍ほど男性に多い病気で、日本で確認されている罹患者は400人程度。
ただし症状が長期に渡って進行する特性から自覚していない患者層が多いとも考えられ、実数は不明です。
リウマチの一種であり、「HLA B27」という遺伝因子が関与している可能性が指摘されています。
好発年代は30歳前後。安静時に増悪する関節痛が特徴。
運動時に痛みが弱くなりますが、この時の刺激によって炎症症状が悪化して、安静時に硬直化が進行するのです。
特に朝方に最も強くなる関節痛がある方は要注意。
症状が進行すれば呼吸がままならなくなったり、失明に至ったりと、骨に直接接していない臓器器官にも波及します。
・混合性結合組織病(MCTD)
混合性結合組織病は女性に多く見られる膠原病の一種で、全身性エリテマトーデスや多発性筋炎、または全身性強皮症のような症状が混在して発現します。
関与する自己抗体は抗核抗体、抗RNP抗体(抗UI抗体、あるいはRNP抗体とも)など。
レイノー現象や手指から手の甲にかけての顕著なむくみ、関節炎症状といった症状が起こり、温度変化による刺激や心理的要因が影響して症状が強く出ることも。
また、肺高血圧症を併発した場合には予後不良とされています。
進行性の病気であり、臓器への進行があるため失明などを引き起こすケースもあります。これの対策は早期発見、早期治療が第一です。
混合性結合組織病のサインは運動能力や運動耐性、筋力の低下。
息切れのほか、食べたものがなかなか胃に降りて行かなくなった場合にも混合性結合組織病の可能性があります。
発症リスクの分布は小児から高齢者までと広範囲ですが、ピークは30歳から40歳。男女比は男性1に対して女性は最大16倍。
近年の罹患者数の伸びは目覚ましく、2008年に8,658人だったものが2013年には10,539人に増加しました。
年々リスクが高くなっている病気として覚えておくといいでしょう。
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ライタープロフィール
円谷ミナミ
基本的に斜めの姿勢で世の中を見つめるフリーライター。
性的思考はボーダーレス。ただし多少女性に甘い。
自分のキュアリは?(女性としての内面磨き)(沈思黙考・無言実行)
”秘すれば華”を人生を通して実現する方法を模索している。
乙女の窓辺~女性にまつわる、うわさの検証~の四コマ連載中