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学会・卵子や精子の凍結保存療法に関する指針作りへ

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2014年と2015年の統計データを比較すると、日本人のがん罹患率は10万人単位で拡大しています。
世間では日本人の2人に1人ががんに罹患するとも言われ、もはや「がん」は国民病と言っていいでしょう。

「いつ」「誰が」がんになっても不思議はない。
そういう状況なのです。

がんは生体内のどこにでも発生します。
当然ながら、女性の婦人科系器官や男性の精巣、前立腺など、生殖にまつわる部位もそのリスクを免れ得ません。

日本癌治療学会はこのほど、抗がん剤治療などによる不妊の対策としての、卵子や精子の凍結保存に関する指針作りを始めたそうです。

卵子、精子の凍結保存療法について

不妊治療の分野においては卵子の老化がこれまでにも問題視され、不妊治療の成功率を上げる方法として凍結保存療法はもはやポピュラーなものとなっていました。
ですが、これまでは保存そのものに関する制度面での整備が遅れていたため、患者に無断で保存した卵子及び精子を破棄してしまうという事例が起こっています。

このケースで“被害”にあった患者の一部はすでに生殖能力を喪失しており、いざ凍結状態から解凍しようという運びになって、無断廃棄の事実を知ったのだとか。
新聞社によるインタビューに、彼らは悲憤を隠し切れずに吐露していました。

学会による公的なガイドラインが示されれば、このような事態を予防できるようになるでしょう。
施設毎の契約に縛られるのではなく、全国で共有できる指針があれば、患者、医療従事者、それぞれの身を守ることにもつながるはずです。

凍結保存は希望となるのか?

不妊症そのものには、自然妊娠が一定期間起こらないことが認定の条件となっています。
しかし、中にはがん治療の放射線や薬剤の影響で、完全に機能を喪失する方も少なくありません。
がんの罹患率上昇が止まらない現状から、その割合はこれからますます増えていくとも考えられます。

そうした時に、機能喪失以前に自己卵子や自己精子を保存しておけば、がん等の治療を終えた後に体外受精の手法で妊娠・出産を見込めるのです。
もちろんこの治療を受ければ必ず子供を望めるとは限りませんが、新たに卵子や精子を作り出せなくなった方々にとっては、自らの遺伝子を受け継ぐ子供を授かる唯一の方法となるでしょう。
そういう意味では、希望のひかりと称しても過剰ではないかもしれません。

しかし、人為的な治療行為である以上、凍結保存による自己卵子、精子の活用には必ず制限がつきまといます。
ひとつの卵子、精子を保存できる期間や、採取、保存に適した時期、患者の年齢など。
これらの点には、まだまだ協議が必要だろうと考えます。

また、現時点ではがん治療を提供している医療機関における保存療法(凍結保存など)の知識が不十分です。
若い世代の患者への保存療法の提案が行われないケースもあるのだとか。
がん治療を始める前に、治療に伴う不妊の危険性、保存療法の有効性を患者本人が認識できるように、学会は2年後の指針周知を目指しています。

全国的な指針の完成にはまだまだ間がありますから、今すでに何らかの疾患で治療を受けていらっしゃる方には、自ら病気治療と不妊の関係を調べる必要があるでしょう。
不妊治療は女性が行うものと思われがちですが、この件に関しては男女の区別はありません。

指針作りの進展に注目していきたいと思います。

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ライタープロフィール

円谷円谷ミナミ
基本的に斜めの姿勢で世の中を見つめるフリーライター。
性的思考はボーダーレス。ただし多少女性に甘い。
自分のキュアリは?(女性としての内面磨き)(沈思黙考・無言実行)
”秘すれば華”を人生を通して実現する方法を模索している。
乙女の窓辺~女性にまつわる、うわさの検証~の四コマ連載中